オランダ坂トンネルとトンネル分岐ケーブル
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トンネルを抜けると、
そこは異国情緒あふれる港街だった。
中華街は赤々とした飾りに彩られ、
出島やグラバー園もすぐそこに迫っていた。何だか、川端康成の「雪国」の冒頭みたいだな。
こう書くと、
僕みたいなトンネルでもカッコよく感じるな。 -
君は長崎に来たことがあるかい?
えっ、20年前に修学旅行で来た、だって?
ほう、渋滞で時間がかかってしんどかったのか。
それは、それは、長崎県民として申し訳ない。でも、今は大丈夫だぞ。
車を使って長崎市街地に来る時、
僕のお腹の中をくぐっていけば、
楽々と到着できるんだぜ。
長崎自動車道から、ながさき出島道路に入ると、
すぐに僕が見えてくる。
全長2923メートル。
2004年に生まれたんだけど、
おかげで、時間短縮、渋滞知らずさ。 -
実は僕の体の中には、
橋本興産が提供したケーブルが入っているんだ。
トンネル用分岐ケーブルと言うんだ。
トンネルの中は真っ暗だから、
電灯をともさないといけない。
でも、コンクリートに電気は通らないだろう。
だから電気を流すケーブルが必要なんだ。
よく見てご覧よ、
ケーブルに明るい電灯が
何個もくっついているだろう。
おかげさまで、
僕は腹黒くならなくてすんだわけさ(笑)。
車の走行も安全にしてもらえてよかったよ。
事故をされたら、
僕にとってはお腹を壊すのと一緒だからさ。 -
こんな話してたら腹が減ってきたよ。
中華街でも行こうかな。
君もおいしいちゃんぽんが食べたくなったら、
いつでも長崎においでよ。
僕が最高の明かり(笑顔)で出迎えるからさ!