ボンジュール(こんにちは)!
いや~、長い旅だった。
コンテナの中に積み込まれて、
フランスの港を発ってどんだけ時間が経ったんだろう?
何か、肩が凝ったな。
いや、いや、僕に肩はなかった。気のせいか。
そう言えば、少し熟成が進んだ気がするんだけど、
これも気のせいかな。
僕は赤ワイン。
フランス生まれさ。
日本人もワイン好きが多いんだって?
うれしいね。


それにしても、港にあるクレーン、君はでかいよね!
君だよ、赤白に塗られた君さ。
名前は何?
そうか、ガントリークレーンと言うのか。
君が僕が入っていたコンテナを
船から陸に上げてくれたんだね。
仲間もいっぱい入っていたから、
そうとう重かったと思うんだけど、
君は力持ちだな~。
強さの秘密は何なんだい?
え、キャブタイヤケーブルだって?
何だいそれ?
そうか、ケーブルに電気を走らせて、積み荷を動かすのか。
クレーン用のケーブルまであるんだね。
そうか、橋本興産に頼んだら、
ねじれに強くて耐久性のあるタイプを紹介してくれたのか。
なになに「大きな声では言えないけど」って声が小せえなー。
もっと大きな声で言えよ!
フランス人ははっきりしない奴は大嫌いなんだ。
なになに、いろんなタイプがある中で、
価格も手ごろで精度のいいものを紹介してくれたって。
うれしいじゃない。
毎日使うから消耗するし、
安全のためには定期的な交換が必要だもんね。
しかし、日本人のクレーンの操作技術には恐れいったよ。
僕、船酔いや車酔いするタイプなんだけど、
コンテナがほとんど揺れないんだもん。
NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」でも、
凄腕のクレーン運転士が紹介されたそうじゃないか。
いや~、おかげさまで酔わなくてよかった。
僕の仕事は、人間を酔わせることだからさぁ。
