光ファイバとは

光ファイバは長距離でも安定的に、非常に高速な通信ができる技術です。通信が速いということは、1秒間に得られる情報量も多いため、例えば画像や動画などの重いデータもスムーズに取得できるわけです。

「光を導く細い繊維」という意味の光ファイバは、細くて軽いという特長があります。

その構造は光を伝搬する中心部の「コア」と、コアの周囲を覆う「クラッド」という2種類の透明な誘電体の二重になっています。誘導体に金属は使われず、純度の非常に高い石英ガラスやプラスチックといった導電性のない物質が使用されています。

光は全反射という現象を利用し、光の信号をコアの中に閉じ込めた状態で伝送します。光の伝わり方は、コアとクラッドの屈折率の差、コアの太さが関係し、特定の角度の反射を繰り返しながら光は進んでいきます。この角度を伝搬モードと呼びます。つまり、モードとは光の通り道です。

光ファイバは、光の伝搬モードの数によって、シングルモードファイバ(SMF)、マルチモードファイバ(MMF)の2種類に分類されます。SMFは長距離通信に向いており、MMFは主にLANなどの内部通信に利用されます。

シングルモードファイバ(SMF)

シングルモードファイバは、光の分散が小さいので長距離伝送に向いています。
分散のない波長(零分散波長)によって「汎用シングルモード」(SM)、
「分散シフト・シングルモード」(DSF)、非零分散シフト・シングルモード(ZF-DSF)に分けられます。

汎用シングルモード
光ファイバ

コア径を小さくすることにより、1つのモードしか通らなくした光ファイバ。波長1310nmで零分散波長になるように設計されており、伝送損失が低いです。またマルチモードのようなモード分散がないため、光信号に歪みはありません。高品質で安定した通信ができるため、幹線網、高速、大容量のシステムに適します。

分散シフト
シングルモード光ファイバ

伝送損失が1310nm帯よりも低い1550nm帯に分散波長がゼロになるようにずらし、高速・大容量の通信を行えるようにした光ファイバ。中継系や海底ルートなどの長距離伝送に適しています。

非分散シフト
シングルモード光ファイバ

波長の分散がゼロになるところを1550nm帯から少しずらすことで1550nm帯での波長分散の傾きを抑えた光ファイバ。大容量波長分割多重(WDM)伝送に向いており、メトロ、地域といった超高速の長距離ネットワークに適しています。

マルチモードファイバ(MMF)

光ファイバには何通りかの光の伝搬の仕方がありますが、
複数のモードを通す光ファイバをマルチモード光ファイバといいます。
MMFはコアの屈折率分布によってステップインデックス(SI)、
グレーデッドインデックス(GI)の二つに分けられます。

ステップインデックス
マルチモード光ファイバ

コアの屈折率が一定で、光がコア内でまっすぐ通ったり、反射を繰り返して通ったりします。そのため、伝搬信号は大きく歪み、伝送帯域が他のファイバに比べて狭いため、一般の情報通信には用いられません。100メートル程度のデータ通信、レーザー光のデリバリーケーブルなどの光パワー伝送などに用いられています。

グレーデッドインデックス
マルチモード光ファイバ

コアの中心の屈折率が高く、外側に向かってゆるやかに低くなるように屈折率を滑らかに分布させています。このため、「ステップインデックス」の歪みが改善され、すべてのモードの光の伝搬時間を同一に近づけ、光信号のモード分散を小さくしたものです。
標準的なコア径は日本で主流が50nm、北米で主流が62.5nm。シングルモードファイバよりも伝送損失が大きいですが、接続が簡単で対応するネットワーク機器が安価なため、LANなどの短距離の通信で使われています。